物語のある家づくり 第4回

オーナーの夢が詰まった
斬新な木のパティスリー

コクリ洋菓子店・小栗様邸(美濃市)

コクリ洋菓子店_お店とオーナーさん

パティシエになったからには、いつか自分のお店を持ちたい…。その夢を叶え、充実した日々を送っている小栗様。
完成までのエピソードや思いを語っていただきました。

うれしさを胸に始まった店づくり

長良川の清らかな涜れと、豊かな緑を間近に感じられる美濃市須原。うだつの上がる街並みに程近い里山で、ひときわ目を引くのが、2016 年5月初日にオープンした「コクリ洋菓子店」です。

コクリ洋菓子店_ケーキ

施主の小栗京(みやこ)さんは、神戸の大学を卒業後、さらに製菓学校へと進み、洋菓子の本場で修業を重ねてこの地へ戻ってきたUターン組。
「きっかけは家族の看病でしたが、しばらくして父が『ここにケーキ屋を建てるか』と言ってくれたんです。とてもうれしかったけれど、周りは畑ばかりの場所に、果たしてお客様がケーキを買いにきてくれるのか:。正直、心配でしたね(笑)。それでも、店を持つことは長年の夢だったので、思い切ってやってみようと決めました」。

コクリ洋菓子店_ショーケース

「自分のつくりたいものができる!」そんなうれしさを胸に始まった店づくりでしたが、順風満帆とはいかなかったそう。
「建設予定地が農業振興地域だったため、申請して宅地にするのに1年かかりました。その問、建築士さんと打ち合わせを重ねましたが、なぜか不安で。予算を多少、上回るのは仕方がないと思っていたものの、いただいた見積りとの差があまりにも大きすぎたうえ、交渉の余地もなく…。結局、白紙になってしまったんです」。

コクリ洋菓子店_店舗外観

気持ちを切り替えて再スタート

だからと言って、お店をつくること自体を諦めたくはない。そんな思いで日々を過ごす中、国道沿いに掲げられた宮部建設の看板がふと目に留まり、ホームぺージのお問い合わせフォームヘメールを送って、相談してみることに。
「このぐらいの予算と広さで…と伝え、最初に描いてもらった図面がとても斬新で。ほぽ現在のお店の形でした。自分自身では考えつかないような建物だったので、おもしろいなど感じましたね」。しっかりと話を聞いてくれるだけでなく、要望と予算どのギャップをその都度、埋めてくれることも、安心してお任せできるポイントだったと言います。

コクリ洋菓子店_オーナーの小栗さん

「施工が始まってからも、『ここはどうしますか?』と細かく聞いてくださり、少しずつ相談しながら、進めることができました。壁はこの色で本当にいいのか、扉はどうしようと悩んでいる間も、ずっと付き合ってくれて。とても感謝しています」。

コクリ洋菓子店_店舗と厨房

建築士の提案から広がるイメージ

建物全体に一体感を出したかったという京さん。外壁に用いられている木組みの飾りを、店内のショーケースにも採用したのは、建築士のアイデアです。
「いろいろ提案いただいたおかげで、私の中でも、お店のイメージがどんどん膨らんでいきました。お店のつくりがシンプルな分、色で遊んでみようと思い、ショーケース側の壁はダークブルーに。お客様には見えない場所ですが、倉庫の壁紙はグリーン、トイレはピンク色にしたんですよ」と、楽しそうに語ります。

コクリ洋菓子店_ブランドシンボル

他にも、お店の看板を色違いで用意。バクのマークと文字は、消しゴムハンコの要領で京さんがべースをつくり、デザインの仕事をしているお兄さんに仕上げてもらったそうです。
「私の夢の結晶であるケーキを、みなさんに食べてもらいたいという気持ちを込めて、バクのモチーフにしました。お客様は地元の方ばかりなので、いつきていただいても、新しい種類のケーキがあるように、句のフルーツを使ったタルト・ショートケーキ・チーズケーキなどいろいろなタイプを常時8〜10種類、ご用意しています」。

コクリ洋菓子店_厨房

働きやすさを最優先した動線

目を輝かせながら語る京さんが、今回の店づくりで特にこだわったのが動線です。
「ひとりで店を切り盛りすることが大前提だったので、ショーケースから厨房までの動きや、ケーキを仕込んでいる最中でもお客様の姿が見えることを重視しました。厨房と店舗との仕切りが木の引き戸になっていて、開け放てば、ひと続きになるので、とても働きやすいです」とのこと。

コクリ洋菓子店_店舗入口

ケーキ屋さんといえば、表はガラス張りで、外からでもショーケースが見えるというのが一般的な中、「コクリ洋菓子店」は、前面が木組み。店内の様子をうかがい知ることはできません。「何屋さんなのかわからないけれど、オシャレな建物があると、ご近所で噂になり、人が人を呼ぶ形でお客様がきてくれます」と京さん。

コクリ洋菓子店_いちじくの木

いつか、イートインもできるようにしたいと考え、ショーケースの隣には、テーブルを2つ置けるほどスペースも確保しました。窓からは、イチジク、ブルーベリー、キウイ、柿、栗、モモ、ブドウなどの果樹が眺められます。「これらは、亡くなった母と一緒に植えたもの。いい実が収穫できれば、ケーキの材料に使いたいなど思っています。今後はミントやサツマイモなども植えたいです」。
クローズタイムの4時を待たずに、ケーキが売り切れてしまうこともよくある「コクリ洋菓子店」。地域に愛されるケーキ屋さんとして、これからどのように進化していくのか楽しみです。

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