【岐阜市】27坪の狭小変形地 SE構法で叶えた 森のジャングルジムのような家
Works #11
金華山の麓に位置し、登山やサイクリングをされる方に一度はご覧いただいていることと思います。細長い三角屋根の印象的な建物。賃貸に暮らしながら、この地域の魅力を知り関心を高めていったお施主様。かなりの狭小変形地ではありましたが、その特徴を活かした個性あふれる住まいが出来上がりました。枠にとらわれず子育てから趣味まで暮らしを思う存分楽しまれています。(2023.4.25更新)
敷地の高低差は約1,500mm 段差を上手く活かしたスキップフロア
既存宅解体後の敷地は東西方向に約19メートルあり、隣接する道路からは1500mmほど下がった形状でした。(写真の右手が東、左手が西)お車を東側に1台駐車されたいとのことで、道路と同じ高さとなる東側面を玄関部分に設定し、敷地の造成計画が始まります。東から西まで19メートルを1500mm上げる造成費用はかなり高額となったため、埋土する部分を必要最低限にSE構法の基礎で高低差を設け東側から西側へ1000mmほど段差のある基礎、躯体構造としました。SE構法は基礎の構造計算も標準で実施しているため、こうした変形地に対しても建物の躯体バランスを考慮しながら基礎計画を行うことが可能。
敷地の間口は4.8メートル 27坪の敷地に延床面積33坪の住まいを実現
敷地は、間口4.8メートル、長さ19メートルの約27坪ほど。建物形状は、間口3.6メートルの奥行き15メートル。細長い形状は地震の揺れに対して不利になるのですが、間取りの作成と同時並行でSE構法による構造計算を行いながら検討、適所に耐力壁を配置することで高い耐震等級を実現できました。
古い街並みが残る地域ですので、周囲の景観に溶け込むように黒色を基調としながら、一部天然木を外壁に採用し縦格子も設置し日本家屋の風情を演出しました。
ストレート階段ではなく踊り場を設けて安全対策
医療関係のお仕事に従事されているごご主人からの強い希望で、階段はストレートではなく踊り場付き。万が一お子様が階段で転倒した際、下まで転がり落ちずに途中で止まるからという理由です。安全面を優先する分デメリットとしては、階段が長くなるので面積を取られてしまいます。しかし、その点も譲らず階段の踊り場下部もしっかり収納スペースを設け飲料水の保管場に。仔細なご要望を叶えながら、プラスαのご提案ができるのもイエイエの経験が豊富だからではないでしょうか。
三角屋根の登り梁があらわしとなった木の温もり溢れるLDK空間
南から陽が入る2階のキッチン前通路の様子。天井の高さが4.6メートルあり、あらわし仕上げの骨太な梁や登梁(SE構法構造材)が安心感をもたらしてくれます。東側には緑豊かな金華山、その麓にひっそりと佇む山小屋のようなイメージ。無垢の木肌が心地よく目に映り込み、森林浴をしているかのようなリラックスできる空間。床材に用いたナラのフローリングも適度に節があり、臨場感を掻き立てています。1,820mmピッチでリズムよく並ぶ登梁が大好きです。
天井まで続く壁面の棚とロフトへの小さな階段
金華山を望む東の窓際には、天井まで続く収納棚を設けました。小上がりの下部にはスペースを活かした引き出し収納。いつも手が届く家族の本棚というイメージで、お写真や本、雑貨やグリーンが並べられています。左手手前のスペースにダイニングテーブルを置いてみえます。
そして、可愛らしい小さな階段を登れば、10帖ほどの空間にロフトと小屋裏収納が広がります。天井の高さは低いですが、座って作業をしたり、季節ものを保管するにはとても重宝する場所です。
まるでオーダーキッチン、美しい背面造作家具
SE構法の構造材があらわし仕上げで木質感溢れる空間。広葉樹のオーダーキッチンを採用できれば最高なのですが、ご予算も考慮しなければいけません。今回は、LIXIL社製のシステムキッチンを採用しているのですが、皆さまいかがでしょうか。フルオーダーキッチンに見えませんか。リシェルの壁付けタイプをオーク材の背面家具で囲っています。しかも、リシェルには今人気の大型食洗機であるミーレの食洗機を組み込んでいます。
キッチン背面カウンターならびに引き出しも併せ、長くお付き合いしているMONDOさん(オーダー家具・オーダーキッチン)に制作していただきました。
・MONDO(オーダー家具・オーダーキッチン)詳しくはこちらから>>
通路も兼ねたフリーなお子さま部屋(二人用)
二人のお子さま部屋はフリーな空間。個室は必要ないとのご主人のお考えから。奥の洗濯物干しスペースへ行く通路も兼ねながらのスペース。勉強机となるカウンターは造り付けで設け、本棚は動かしてパーテーションにも使えるようにと制作。(6年後には下部の最後でご紹介する形になっています)
ここ近年、お子さま部屋におけるご要望は「小さくていい」という将来を見越した観点でのご意見が大半を占めます。また、主寝室においても広さを求められないので、いわゆる2階部分が小さくなり、「1.5階平屋」とか「小さな平屋」といったキーワードが出てきているのだと推察しています。
シンプルな造作洗面台 サンワカンパニー社製
洗面台は既製品を選択せず、ナラの積層カウンターにサンワカンパニー社のテオレマシリーズを採用。極力何も置かないミニマムな空間を間接照明で演出。洗面台の右手には洗濯機を配置。無垢の縦格子が木造の建物であることをひっそりと伝えてくれる。ここ近年でのご要望は、既製品の洗面化粧台と造作洗面台のご希望は半々となっています。デザイン性や建物との統一感なのか、収納力や掃除のしやすさ、使い勝手といった日常的な機能なのか。暮らしのイメージでご夫婦に合った形を選択されるのがベストです。
建物の最も低い位置に当たる主寝室
左手の収納を合わせ8帖の広さがある主寝室。右手の階段を5段上がると1階のベースフロアに。こちらの動線には建具を敢えて設けていません。シナ合板の建具が見える箇所は収納となっています。こちらのお部屋は天井を貼らず、2階床の構造用合板28mmがむき出しの状態。照明は配線ダクトを梁に走らせスポットライトにて。コストをかける箇所、そうでない箇所のメリハリをつけることで全体の予算調整を行いました。
2階南西に設けた選択物干し専用スペース
共働きで人目につきやすい立地環境ということ。ご主人がお洗濯好きということから、お洗濯物は基本部屋干しにて計画。2階の南西にあたり長時間陽当たりが良い場所に洗濯物干し専用スペースを設けました。天井からの明かり取り、トップライトも設けて万全です。バルコニーではなく部屋内にて。花粉やPM2.5などアレルギーをお持ちの方が増えるなか、こうした室内干し空間のニーズはより一層高まることでしょう。
広々 1階玄関土間スペース
玄関を入ると広がる12帖の土間スペース。床に上がるまでに5.4メートルの距離があります。こちらは主にご主人の趣味スペースとなっており、数台の自転車やランニンググッズなどが置かれています。敷地27坪で延床面積33坪。よくこのスペースを作り出すことができたと今更ながらに感心します。家族にとって必要と感じた箇所は必要最低限に残し、それ以外はコンパクトにシンプルに。敢えて間仕切り壁を設けずワンルームにしたことが、窮屈さを感じない逆に空間の広がりを体感できる住まいに。
森のジャングルジムとタイトルに記しましたが、ここまでご覧になっていかがでしたでしょうか。構造材がダイナミックに組み上げられた姿を間近に感じ取ることができ、お施主様の遊び心も個性となり良い味付けになった住まい。SE構法でしか叶えられない特別な木の家となりました。
下記写真は、ご入居から6年経過した際にお子さま部屋スペースを間仕切した様子をご紹介。本棚で仕切っていた空間に間仕切りの壁を設けたいとのことで、シナ合板を使い大工さんにより簡易的に造作しました。左手のカウンターデスクの間仕切り。右手のベットの間仕切り。
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