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「もう、どこにも頼めない…」能登半島地震で困ったお客様を救った、宮部建設の挑戦

2025.08.18 コラム written by 宮部英門

2025年7月下旬、石川県能登町へ行って参りました。地震で被災された方への支援として、築60年以上の木造住宅に耐震シェルターを設置する工事のため1週間ほどの滞在でした。この経験を通じて、改めて感じたこと、そして耐震シェルターの重要性についてお伝えしたいと思います。

岐阜県関市から石川県能登町へ①

本社のある岐阜県関市から、依頼先の石川県能登町へ。

車で休憩も入れながらの約5時間。

東海北陸自動車道をまっすぐ道なりに七尾まで行き、穴水を通り249号線で宇出津港経由の能登町真脇へ。

岐阜県関市から石川県能登町へ②

現地での宿泊拠点は、九十九湾(つくもわん)に面した堤防沿いすぐに建つ『漁火ユースホステル』。

お風呂、トイレ、食堂が共同。入浴時間が夜22時までという情報は宿について知りました笑。

宿泊中は、オーナーをはじめスタッフの方に融通をいろいろと聞いていただき大変助かりました。本当にお世話になり感謝申し上げます。ありがとうございます。

また、全国から泊まりに来ている他のお客様と交流できたことも大変有意義なものでした。

そして、宿泊先ならびに現場近くにはスーパーや食事処などがないため、宇出津港まで海沿いの道を行ったり来たり。近辺で唯一のファミリーマートには毎朝通うことに。宇出津港のまちには能登町役場があり、スーパー、ホームセンター、焼肉屋さん、居酒屋、スナックなどがあります。

目についたのは、海面が港の船着場よりも高いので、港沿いでは冠水している一部地域も見られました。

九十九湾、漁火ユースホステルからの眺め

九十九湾、漁火ユースホステルからの眺め(午後19時頃)

石川県能登町真脇、耐震シェルターを設置したA様邸の様子

今回、耐震シェルターを設置させていただいた石川県能登町真脇のA様邸

きっかけは、離れた場所に暮らす家族の言葉から

2025年1月、A様から、宮部建設に電話が入ります。

「正月にまた地震が来るかもしれない」と思い、娘さん家族が暮らす金沢市内に避難していたA様。実家に一人残した母親を想い住宅の耐震化等について調べていた娘さんから、耐震シェルターの設置を提言されたそうです。

早速、A様はネット検索で3社ほど選定したうえ問い合わせを行います。しかし、石川県能登町での施工ができない(遠方だから)という理由で断られたとのこと。

そして最後にお問い合わせを受けたのが、私ども宮部建設でした。

お電話にて、A様のお住まいが石川県能登町という被災地であることをお聞きし、「少しでもお力添えができれば」と前向きにご対応させて頂くことをお伝えした次第です。

その後は、弊社が取り扱っている『耐震シェルター70k』の販売元である一般社団法人耐震住宅100%実行委員会の事務局へ連絡。能登町への初回訪問から2度の現地調査。理事会の協議、審議を経て全面的な協力体制を迅速に整えていただく事ができました。

私自身、当法人の理事を2017年から務めていたこともあり、スピード感を持って本件を進められたことは本当に有り難いことでした。

もしもの時に命を守る『耐震シェルター』とは?

既存住宅の耐震化には、耐震診断を受け補強計画を立てた後の耐震補強工事が一般的です。しかし、建物全体の補強で評価を得るには大がかりな耐震改修が必要となり経済的にも大きな負担となります。そこで、地震による家屋の倒壊から一定の空間を確保することで命を守る装置として「耐震シェルター」があります。

リビングや寝室などの個室といった既存住宅内の部屋単位で設置することができる耐震シェルターは、大がかりな耐震改修に比べ費用を抑える事ができるうえ、短期間での工事で設置する事が可能です。

・耐震シェルター70k

耐震シェルター70kは、木造ラーメンフレームによるシェルターであり、耐震工法SE構法の技術を用いた製品です。戸建住宅向けに3サイズ、4.5帖、6帖、8帖の3サイズを規格として展開しており、その他の特別なサイズにおいては個別に対応しています。

木質耐震シェルター70k 3つのサイズにて展開

下イメージ(A様邸、4.5帖の参考軸組パース)

能登町 耐震シェルター設置工事 4.5帖の参考軸組パース

・設置場所

A様邸は、築60年以上の木造住宅。今回の能登半島地震により、屋根を損傷し雨漏りによる被害が大きかったそうです。また、今でも建物の柱の一部は傾いたままであり、抜本的な補修を諦めているとのこと。

今回は、毎晩就寝されている4.5帖の主寝室に耐震シェルターを設置しました。他に、ダイニングやリビングスペースといった候補も上りましたが、毎晩安心して寝られるという気持ちの安らぎを優先された次第です。

・効果

「木質耐震シェルター70k」は、国内の実験施設で最大荷重10トンにも耐えられることが確認できており、実施の住宅に設置した状況下においては、少なくとも7トン(70KN)までの荷重に耐えられる性能を有しています。

木質耐震シェルター70kの耐震実験結果

⚫︎過去の投稿から
「耐震シェルターのご紹介 家全体ではなく人の命を守る最低限の備え」

・「耐震シェルター70k」設置工事の様子

(下写真)耐震シェルターを設置する前の部屋の様子

能登町 耐震シェルター設置工事① 設置前のお部屋の様子

(下写真:工事1日目)
家具を移動した後、畳を捲り床を解体する様子

能登町 耐震シェルター設置工事② 床解体時の様子②

(下写真:工事2日目)
地面を整え透湿防水シートを敷いた後に、土間コンクリートを打設します。建物近くまで生コン車が入れず、坂の下の敷地から軽トラを使いバケツリレー。約1立米(100杯)を5人で汗を吹き出しながらの作業。

能登町 耐震シェルター設置工事③ 土間コンクリート打設後の様子

(下写真:養生期間を経て工事4日目)
金沢経由で能登に入ったシェルターのプレカット材を荷受け。こちらも坂の下の敷地で小型トラックに材を積み替え搬入。打設した土間コンクリートに床梁を据え建て方開始。天井までのクリアランスは100mmほどしかなく、梁を抱えながら柱を入れ込んでいくという力技。

能登町 耐震シェルター設置工事④ シャルターの躯体を組み上げる様子

(下写真:工事4日目)
シェルターが組み上がった後は、床組作業へ。鋼製束を用いて大引きを設置していきます。

能登町 耐震シェルター設置工事⑤ 床大引きを設置する様子

(下写真:工事5日目)
大引き、根太を走らせた間に断熱材を敷き詰め合板で抑えます。以前は床下に断熱材が施されていませんでしたので、土間コンクリートと断熱材により冬場の厳しい冷えは軽減されることと思います。

能登町 耐震シェルター設置工事⑥ 床合板を伏せる様子

(下写真:工事5日目)
工程は、最終の床仕上げ材の施工へ。既設住宅の空間のなかにすっぽりと入ったシェルター。壁とのクリアランスは20mm〜30mmほど。シェルターの柱と壁との隙間を上手に床張りしなければいけません。大工さんにとってはかなり困難な作業となりました。

能登町 耐震シェルター設置工事⑦ 床仕上げ材を貼る様子

(下写真:工事6日目)
仕上げの床も貼り終え、移動した家具を元の位置へ。シェルターの柱の太さ分で四方がそれぞれ120mm内側に迫ったため、一部入らなくなった家具も。A様の指示により綺麗に配置できました。シェルター自体が木質のため、鉄骨などと異なり柔らかく温もりのある表情です。

能登町 耐震シェルター設置工事⑧ 耐震シェルター70kの設置後の様子

備えあれば憂いなし。私たちが耐震シェルターの普及に力を入れる理由

キラキラと光り輝く能登の海を眺めながら、車を走らせ宿と現場を往復した6日間。海のない岐阜県に暮らす私にとっては、目の前に広がる景色のすべてが絵画のように美しく特別に映りました。またその反面、屋根の上にブルーシートが被る住宅は点々と残り、平らで真っ直ぐに舗装された道路は贅沢なものであるのだと思い知らされました。いまだに手付かずで解体を待つ建物があれば、すでに解体し更地としてこの地域を離れる人も少なくないという現実も受け入れなければいけません。

石川県防災計画における「能登半島北方沖の地震」の被害想定が緩く、防災対策が不十分だったのではないかという論調があります。また、能登半島には1980年以前に建てられた木造住宅が多く、耐震改修はあまり進んでいなかった。そうしたことが、被害を拡大させ多くの死者を生み出したといえる。

「地震大国日本」に住み暮らす私たちは、いつか大きな地震に遭遇します。このことは誰もが共通した認識であるにも関わらず、いざその大地震への備えをしているかと問われると、実施している人は少数ではないでしょうか。「私は大丈夫」「ここに大地震はこない」。恐ろしい現実から目を背けて逃げるため、そう願いたい気持ちはわかります。ですが、生きるために、可能な範囲での地震に対する備えを行なっていただきたい。
能登での工事を通して、地震への備えの重要性を再認識した次第です。

国は耐震改修を進めるため、1995年に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を制定しています。また、この法律に基づいて、「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」を作成しこれまでに5回策定されています。

耐震化率は耐震性のない住宅が減ると上がります。そのための方法は2つあり、耐震性のない住宅を撤去し新たな住宅を建てる方法と、耐震性のない住宅を耐震改修する方法です。東京都、千葉県の耐震化率は92%であり、全国平均は87%。石川県は82%、岐阜県は83%と全国平均を下回っています。大都市圏では高く、地方では低い傾向のある耐震化。なぜ、地方での耐震化率が高まっていかないのでしょうか。住宅需要の小さい地域では、建て替え等による耐震化率を高めるのは難しく、耐震改修を進めることが重要になります。

このたびの能登町での耐震シェルター設置工事は、耐震改修としての一つの手段といえます。家を守る耐震改修もあれば、家族の命を守る耐震改修がある。母を想うご家族の想い。「耐震」は、家を守ることだけではなく、家族の命を守る行動であることを改めて感じることができました。

私たち、イエイエ宮部建設では、今回設置させていただいた『耐震シェルター70k』をはじめ「耐震」の普及を通じて、地元岐阜県関市の安全なまちづくりに貢献したいと考えています。大地震の被害を最小限に抑えるには、耐震性のない木造住宅を耐震化し、建物の倒壊をなくすことが最も重要です。建物が倒壊しなければ、圧迫による死者を圧倒的に抑えることができますし、救助のための道路を塞いでしまうこともありません。命を守ること、命を助けること、災害からの復旧という観点からも、「耐震」は一丁目一番地の重要な取り組みといえるのです。

また、能登町と同様、ここ岐阜県関市も人口減少の状態にある地方の自治体といます。(関市の人口は平成の大合併時以降、約92,000人でしたが、2025年8月現在では、約83,000人となっており、2060年には6万人台での着地を目指しています。)過疎化が進む地域においては、今回のような大地震で建物が倒壊した場合、住んでいた家を離れ、まちを離れるケースも少なくありません。「耐震」とは、個人の家を守る、命を守ることと同様に、地域や地域コミュニティを守ることに繋がるのです。

ここ能登町に来て、「まちづくり」と「耐震」が強く太く関わっていたのだと改めて気づかされました。
よって、理事でもある一般社団法人耐震住宅100%実行委員会においては、個々の事業所ではできない、「耐震」という明確な旗印を掲げた、耐震化の推進を図るための国の予算増額についての運動を拡げていく必要性を強く感じた次第です。

まとめ

最後に、地震はいつどこで起こるかわかりません。特に、1980年以前に建てられた木造住宅にお住まいの方は、耐震シェルターの設置を検討してみてはいかがでしょうか。

また、田舎に暮らすご両親の住まいが地震に耐えられるのか心配な方は、自治体の耐震診断を受けられることをお勧めします。ご相談やご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

⚫︎連絡先

・イエイエ宮部建設株式会社
・電話番号 0120−88−0569
・メールアドレス info@miyabe-kensetu.com
・ホームページ https://miyabe-kensetu.com

⚫︎参考資料
・「検証と提言 能登半島地震」自治体問題研究所(編集)/自治労連・地方自治問題研究機構(編集)
・「特別報道写真集2024.1.1能登地震」中日新聞社(編集)
・「検証 能登半島地震 首都直下・南海トラフ巨大地震が今起こったら」日経クロステック(編集)

⚫︎リンク
一般社団法人耐震住宅100%実行委員会
内閣府防災情報「令和6年能登半島地震による被害状況等について」
能登漁火ユースホステル

ずっと、もっと、すきになる。
イエイエ

宮部建設株式会社
代表 宮部 英門

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